らる畑が出会う生産者さん、メーカーさんは、生産へのこだわりを持ち、手間ひまを惜しまず、伝統的な製法を貫く方が多くいらっしゃいます。
食卓を豊かに彩る美味しさの背景には様々な作り手の思い、ストーリーがあります。
この記事では、全国にあるメーカーさんの中から、2019年に訪問した奈良県「王隠堂農園」についてご紹介していきたいと思います。
王隠堂農園の紹介
王隠堂農園は、奈良県五條市を拠点に梅や柿の生産および、梅干しや干し柿などの加工品の製造・販売を行う生産者団体です。創業者・王隠堂誠海と、西吉野村（現在の五條市）の生産者5軒からスタートし、現在では和歌山県や三重県の生産者も加わる規模に成長しました。
創業当初から、生産者自らが梅干しや干し柿の加工を手がけ、農業の生産だけでなく、加工・販売までを一貫して行う「6次産業化」に力を入れています。自然の恵みを活かした伝統的なものづくりを大切にしながら、安心・安全な食品を届け続けている企業です。
そんな王隠堂農園の代表的なものが、「柿」「梅」「野菜・くだもの」を活かして作られた商品です。それぞれの商品にどのような特徴があるのかを、詳しく紹介します。
昼夜の寒暖差が生み出す濃厚な甘みの「柿」
奈良県五條市をはじめとする奥大和は、日本一の柿の産地です。秋が深まる頃、山々は鮮やかな柿色に染まり、奥大和の風景を彩ります。かつて、この地の農家では、収穫した柿の皮をむき、軒先にずらりと吊るした「柿すだれ」が、秋から冬の風物詩でした。
この地では、柿は食べるだけでなく、葉やヘタをお茶や薬にしたり、染料に使ったりするなど、暮らしに根ざした大切な存在です。昼夜の寒暖差が大きい奥大和の気候が、甘みの深い美しい柿を育みます。
そして、その柿をじっくりと乾燥させた干し柿やあんぽ柿は、自然の恵みと職人の手仕事が生み出す逸品。手塩にかけて育てられた奥大和の柿には、この土地ならではの豊かな風土が息づいています。
奥大和の里山が育む、懐かしい味わいの「梅」
日当たりのよい山の頂上から中腹に広がる柿畑に対し、山すそから谷あいにかけて広がるのが梅畑です。中でも、王隠堂農園が力を入れているのが、奥大和の在来種「林州（りんしゅう）」。この小ぶりな梅は、後醍醐天皇が南朝を開く以前から栽培されていたと伝えられています。
しかし、近年は南高梅などへの植え替えが進み、生産量が減少しているようです。王隠堂農園は生産者と力を合わせながら、希少な奥大和の里山のめぐみである林州を守り、未来へと受け継ぎ、育てた農産物を加工・販売しています。
安心・安全な土壌で育った奥大和の梅を、有機質肥料で栽培した赤しそと塩だけで漬け込み、梅本来の風味を大切に仕上げた、どこか懐かしい味わいの逸品です。
有機JAS認証農地で育った「野菜・くだもの」
奈良県では、戦前から県内で栽培されている野菜を「大和の伝統野菜」としてブランド化し、歴史ある農産物を未来へ残す取り組みを進めています。王隠堂農園をはじめとした奥大和の生産者も、「大和まな」「千筋みずな」「宇陀金ごぼう」などの伝統野菜を栽培し、食文化の継承に取り組んでいます。
奥大和では、トマトやきゃべつ、なす、きゅうりといった身近な野菜に加え、米や果物の生産もさかんです。近年は、有機JAS認証を取得した農地で安心・安全な農産物を育てる取り組みも広がっています。王隠堂農園では、紀伊半島の温暖な気候を活かし、ミカンやはっさくなどの柑橘類、桃やぶどう、キウイといった果物の栽培にも力を入れているそうです。
らる畑で取り扱っている王隠堂農園の商品
伝統を大切にしながら、自然と共生し、手間を惜しまず安心・安全な農産物を届けている王隠堂農園。ここでは、らる畑で取り扱っている王隠堂農園の商品をご紹介します。
王隠堂農園のしそ漬梅干し 300g
「王隠堂農園のしそ漬梅干し」は、王隠堂農園がこだわり抜いて作った安心・安全の梅干しです。通常の栽培方法より農薬の使用を大幅に抑え、有機質肥料を使用。さらに、除草剤を使わず、土づくりから丁寧に取り組むことで、梅本来の力を引き出しています。
一粒一粒を手作業でもぎ取り、赤しそとともにじっくり漬け込むことで、梅本来の旨みと酸味を引き出しました。昔ながらの懐かしくも力強い味わいをぜひお楽しみください。
有機梅エキス 65g
「有機梅エキス」は、約3kgの奈良・三重県産有機栽培青梅を濃縮し、梅の成分をギュッと凝縮したエキスです。このエキスには、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸といった豊富な有機酸のほか、食物繊維は鉄分などのいろいろな有効成分が含まれています。
疲労回復や食あたりなどに効果的とされ、日々の健康維持におすすめです。そのままはもちろん、お湯やお茶に溶いてもお楽しみいただけますよ。
紅しょうが 100g
「紅しょうが」は、高知県産しょうがを有機梅から作られた赤梅酢だけで自然に色付けした紅しょうがです。着色料は一切使用せず、鮮やかな紅色は国産赤しそを漬け込んだ赤梅酢の自然な色合いです。
シャキシャキとした歯ごたえに加え、ほどよい酸味とピリッとしたしょうがの風味が特徴。ちらし寿司やお好み焼き、牛丼などのアクセントにぴったりです。
季節限定｜梅シロップ 500ml
「梅シロップ」は、奈良県産の有機栽培梅を、洗双糖と国産蜂蜜だけで漬け込んだ自然の恵みたっぷりの濃縮梅シロップです。
5〜7倍に薄めて、水や炭酸水、お湯などお好みの飲み方でお楽しみください。暑い季節には冷たい梅ジュース、寒い日はホット梅ドリンクとしてもおすすめです。
※こちらの商品は夏季限定商品となります。
吉野本葛
奈良県西吉野産の葛の根を100%使用し、伝統的な「吉野寒ざらし製法」で丁寧に仕上げた本葛です。その純度の高さと上品なとろみは、葛湯やとろみ付け、和菓子作りなど、さまざまなお料理に最適です。
2019年6号らる通信より「西吉野の里 王隠堂農園を訪ねて」
奈良の旅後半は西吉野の王隠堂農園さんに伺いました。王隠堂さんの名字の由来は後醍醐天皇が吉野に逃れてきた南北朝時代からと言われています。 古くから続く小さな集落から 「化学農薬に頼らない農業」 「生産者の共同化」 「地域の自立」 「農業の継続」「地域生産者との連帯」を目標に紀伊半島全域で生産から加工、販売までを手掛ける共同組合の形を確立してきました。
案内して頂いたのは農業政策として力を入れ区画整理された柿畑とそれと対照的な山谷の中の梅畑。 昔はみかん畑だったところを霜に強い柿と梅に切り替えていったと言います。
山谷の畑は急斜面で高齢の生産者にとって摘蕾や収穫は想像以上の厳しさ。そんな中でも有機認証を取得した梅畑はしっかりと管理されています。
らる畑創業以来不動の人気者、梅干しの製造過程も見せて頂きました。 塩漬けした青梅を天日に干してまたもみしそと漬ける。 通年通して出荷できるだけの量が塩漬けされています。
実は「梅干し」と呼べるのは調味料に塩のみを使った物だけ、 最近流通している物はそれ以外に甘味料や酸味料などの入った「調味梅漬け」。 購入の際はラベルの名称をよく見てくださいね。 と半日の
時間を割いて案内してくださった和田さん。 柿愛も熱く語っていただきました。
王隠堂邸は旬の野菜料理を頂くレストランとして開放されていますので、機会があればぜひ訪れてみてください。
3月には梅の花が見事に連なる梅の里から、 青梅の実が届きます。自家製の梅酒・梅干し作りにどうぞご利用ください。
らる畑では全国各地から厳選した野菜・調味料を取り扱っています！
今回は、いつもお世話になっている王隠堂農園をご紹介させていただきました。
らる畑は、地元北海道、全国各地のオーガニック食品や無添加加工品、有機野菜などを取り扱っている専門店です。
原料や製造工程、作っている方の思いが伝わる美味しさを大切にご紹介しています。
食の生産の背景に興味を持っていただけたら、次にお気に入りを見つけてみてください。より食べることの喜びや楽しさを感じていただけると思います。
季節ごとに旬の顔ぶれも変わりますので、ぜひお気軽にご来店ください。
店内で扱っている食品・食材の一部は通販サイトでも取り扱っていますので、遠方にお住まいの方は通販サイトもぜひご覧になってください。
