
冬が深まると、街の空気が少しだけ澄んで、静けさの中に凛とした強さが宿ります。
その厳しい季節を、じっと耐えながら甘さを蓄えていくものがあります。
――冬野菜です。
今回は、そんな“冬が育てたごちそう”の魅力を、らる畑のまほろ代表の言葉を交えて解説していきます。
冬野菜が甘くなる理由
冬の野菜が甘くて美味しいのには、ちゃんとした理由があります。
寒さが野菜の中で起こす変化を知ると、旬の味わいがもっと楽しめます。
寒さがデンプンを糖に変える仕組み
冬の野菜は、寒さに当たることでデンプンを糖に変え、身を守ろうとします。
そのため、気温が下がるほど甘みが増し、味わいが濃くなります。
年末を越えた野菜は、フレッシュさよりも濃厚な甘みと旨味が魅力です。
北海道の野菜が本州の人に驚かれる理由
北海道のジャガイモ・玉ねぎ・人参が「驚くほど美味しい」と言われるのは、寒さと保存環境が生む甘みの違いにあります。
北海道では、昼夜の寒暖差が大きく環境で育つことも、味の濃さにつながっています。
冬に食べたいおすすめ野菜
「冬はこの野菜が本当においしい」とまほろ代表がイチオシする旬の野菜があります。寒さが育てた甘み、身の締まり、香りの深さ。
冬にこそ味わいたい、選りすぐりの野菜たちを紹介します。
小松菜

小松菜は一年を通して手に入る身近な野菜ですが、実は秋〜冬こそが最も味が濃く、旨味が際立つ季節です。寒さに当たることで葉がぎゅっと締まり、えぐみが少なく、甘みとコクがしっかり感じられるようになります。
冬の小松菜は、火を通しても“くたっ”としにくいのが大きな魅力。
鍋やしゃぶしゃぶに入れても存在感があり、シャキッとした歯ごたえが残るため、食卓のアクセントになります。炒め物にしても水っぽくならず、味がぼやけないので、シンプルな料理でも十分に美味しくなります。
さらに、鉄分・カルシウム・βカロテンなどの栄養価が高く、冬の体づくりにもぴったり。クセが少ないので子どもも食べやすい食材になります。
菜花(なばな)

菜花は、1〜3月のわずかな期間だけ楽しめる“春の先取り野菜”です。
まだ雪が残る季節に店先へ並び始める菜花を見ると、「ああ、もうすぐ春が来るんだ」と感じる人も多いはず。短い旬だからこそ、その存在感は特別です。
菜花の魅力は、なんといってもほろ苦さの中にある優しい甘み。
蕾がまだ固く閉じている時期に収穫されるため、香りがよく、噛むほどに旨味が広がります。アブラナ科の仲間で、ブロッコリーやキャベツ、小松菜と同じ系統。冬の寒さで身が締まり、味が濃くなる点も共通しています。
調理の幅も広く、特に和え物やマヨネーズとの相性は抜群。
シンプルな味付けでも菜花のほろ苦さがアクセントになり、季節感のある一皿に仕上がります。味噌汁に入れても美味しく、どんな料理にも春の香りを添えてくれます。
また、菜花は栄養価が高く、ビタミンCや鉄分、葉酸などが豊富。
不足しがちな栄養を補い、体を整えてくれる頼もしい存在でもあります。
蓮根

蓮根は、秋から冬にかけて旬を迎える根菜です。
寒さが深まる季節になると香りがぐっと立ち、噛むほどに広がる自然な甘みが際立ってきます。冬の蓮根は、まさに“旬の力”が最も感じられる時期です。
蓮根の魅力は、なんといっても食感の幅広さ。
薄くスライスすればシャキシャキとした歯ざわりが楽しめ、厚めに切って煮込めばホクホクとした柔らかさに変わります。
また、レンコン特有のほのかな香りは、冬の食卓に温かみを添えてくれます。
きんぴらや天ぷらはもちろん、煮物やおでんに入れると、煮汁を吸って甘みが増し、ほっこりとした味わいに。
さらに、レンコンはビタミンCや食物繊維が豊富で、冬の健康維持にもぴったり。
風邪をひきやすい季節に、自然と取り入れたい食材のひとつです。
八朔

八朔は1〜4月に旬を迎える、冬から春への季節の橋渡しをしてくれる柑橘です。
皮をむいた瞬間にふわっと広がる爽やかな香りは、他の柑橘にはない凛とした清々しさがあり、まだ寒さの残る季節に“春の気配”を運んでくれます。
味わいは、甘さだけでなくほのかな苦味と酸味が調和した大人っぽいバランス。
そのため、ただ食べるだけでなく料理に使うと一気に味が締まり、香りが立つのが八朔の魅力です。
特におすすめなのが、大根や白菜とのサラダ。シャキシャキとした冬野菜に八朔の果汁と香りが加わることで、驚くほど爽やかな一皿になります。
また、皮はマーマレードにすると香りが際立ち、ほろ苦さがクセになる味わいに。
ヨーグルトやパンに合わせると、朝の食卓が少し贅沢になります。
国産オーガニックレモン

国産のオーガニックレモンは、何よりも皮ごと使える安心感が最大の魅力です。
輸入レモンの多くは、長距離輸送に耐えるために防カビ剤や燻蒸処理が施されることがありますが、国産オーガニックレモンはそうした心配がありません。表面の見た目が悪いのは“余計な処理をしていない証拠”。自然のままの姿だからこそ、丸ごと料理に使える価値があります。
味わいは、一般的なレモンよりも酸味がマイルドで角がないのが特徴。
キュッとした酸っぱさではなく、ふわっと広がる柔らかい酸味と香りが心地よく、料理にも飲み物にも馴染みやすいです。
特におすすめなのが、レモン麹や紅茶への活用。
皮ごとスライスして麹と合わせれば、爽やかな香りが広がる万能調味料に。肉や魚の下味、ドレッシング、炊き込みご飯まで幅広く使えます。紅茶に入れれば、皮の香りがふわっと立ち、冬のティータイムが一段と豊かに。
冬野菜の選び方

まほろ代表がおススメする冬野菜を選ぶ時のポイントがあります。
冬の野菜は寒さに耐えて甘みを蓄え、見た目や手に持ったときの感覚に“おいしさのサイン”がしっかり現れます。
まず大切なのは、身がしっかり締まっていること。
キャベツやブロッコリーは、断面や蕾の密度をチェックしてみてください。葉や蕾がぎゅっと詰まっているものほど、味が濃く、火を通しても食感が残ります。
次に、ずっしりとした重さ。
水分をしっかり蓄えた冬野菜は重さがあり、手に取るとずっしりとした質量が感じられます。
さらにスカスカしていないことも大事。
乾燥する季節ですが、断面や蕾がしっかり詰まり、重さのあるものは水分を保っています。春に芽を出す準備をはじめる前の冬の旬をいただきましょう。
ちょっとしたコツを知るだけで、旬をいただく楽しみがぐっと上がります。
「美味しい」という感動を届ける

最後に、まほろ代表に「らる畑がどんな想いで野菜を扱っているか」を伺いました。
「“美味しい”って一瞬なんですけど、人をちょっと元気にする力があるんですよね」
たしかに、美味しいものを食べたときって、気持ちがふっと軽くなることがあります。
らる畑が大切にしているのは、その小さな“いい時間”を、特別な日だけでなく、普段の食卓にも届けることです。
「今日のごはん、なんか美味しいね」
「旬の野菜は、ひと味ちがうね」
そんな一言が出るだけで、その日の食卓が豊かになります。
「日本各地から届く四季折々の旬の野菜は畑の便り。農薬や化学肥料に頼らず、ゆっくりと成長した野菜は私たちに必要な滋養を届けてくれます。旬の美味しさを五感いっぱいに感じて欲しいです」
らる畑が大切にしている“旬の楽しみ”
ぜひ季節に応じた野菜の美味しさを見つけてみてください。