本日の営業時間
10:00-17:00

オーガニックのあれこれ

ドイツの有機農業はどのように行われているの?発展の歴史や認証マークについてご紹介します。

2023/11/15

現在、環境保全型農業や持続可能な農業のロールモデルとして世界で注目の高まる有機農業。

その発展には国を挙げての様々な支援が関係しています。

この記事では、「ドイツの有機農業」について調べた内容を記事にしました。

世界各国の有機農業への取り組みを比較することで、オーガニックが少しづつ拡がって来た背景が見えてくるかもしれません。

ドイツの有機農業の発展

ドイツの有機農業の本格的な発展は、1980年代から始まりました。

80年代のドイツでは、農業による環境汚染が深刻化していた背景があります。

その中で1986年にチェルノブイリ原発事故が起こり、国民の食の安全に対する関心が強くなっていきました。

その後の1989年、ドイツ政府は有機農業を支援する政策を開始します。

国民の食への意識の高まりや、ドイツの国や地域による有機農業への支援により、ドイツ国内で有機食品が広まります。

追うようにしてEU全体での有機農業への支援が行われるようになり、ヨーロッパ全体でも有機農業への取り組みが広がってきました。

現在のドイツ国内では、有機専門のスーパーマーケットが全国展開していたり、消費者がすぐ近いところに有機食品を目にする環境ができています。

ドイツの有機農用地の拡大

2000年から2010年までの期間では、有機食品の売上は伸びているものの有機農用地の面積はうまく広がらない状態でした。

これは、そもそも農地が不足していた背景や、有機食品を隣国のイタリアやフランスから輸入していたことが背景にあります。

その後、国や地域の支援によって、地域振興に有機農業を結びつける取り組みや、都市部に住む消費者に有機食品を供給する取り組みが行われ、2015年以降は加速的に有機農業取組面積が広がっていきました。

有機農業取組農地面積に関して、2014年では1,048千haの面積であったのに対し、2020年では1,702千haまで伸ばしています。

またドイツは耕地面積に対する有機農業取組面積の割合が10.2%であり、先進国の中では高い水準を記録しています。

ドイツ独自のオーガニック認証

Bio-Siegel(ビオシゲール)

Bio-Siegel(ビオシゲール)
ドイツ連邦食糧農業省(BMEL)

ドイツ政府によるオーガニック認証の統一規格が、この「Bio-Siegel(ビオシーゲル)」です。

日本語に直訳すると「ビオシール」という意味で、日本の「有機JAS」と同じようなラベルの役割を持っています。

2001年に導入され、農薬や抗生物質の制限や、加工の工程、流通販売の方法まで基準が定められています。

基準を満たした農産物や加工食品に、EUのオーガニック認証と一緒に貼ることができ、。

農薬や抗生物質の使用規制、遺伝子組み換え、

添加物の使用だけでなく、原料を加工する工程や流通、販売方法にまで基準を定めています。

Demeter(デメター)

Demeter(デメター)
Demeter

デメターは、世界でもかなり古いオーガニック生産機関であり、ドイツ国内のオーガニック認証団体のひとつです。

他の認証よりも基準を満たすのが難しい点が特徴的です。

化学肥料や農薬を使用しないだけでなく、生育環境における太陽の位置や月の満ち欠けにまで基準があり、少しスピリチュアルな要素を含んでいます。

ドイツ政府による有機農業への支援

80年代のドイツでは、農業による環境汚染で生物多様性が脅かされていることが国内で問題視されるようになります。

その影響からドイツ政府は、1989年に「農業粗放化」の政策により有機農業への支援を開始します。

当時、有機農業への支援を行う国はほとんどない状況でしたが、ドイツは国の資金を投入し、生産者への継続助成や製造業・販売業などへの助成、技術の研究への助成を行いました。

2020年には「農業の未来のための委員会」を設立。

この委員会は、生態学的、経済学的、社会的に持続可能な農業・食料システムの提案を行うことを任務としています。

また、有機農業を「独自の重要かつ極めてダイナミックな市場を持つ唯一の持続可能性プログラム」と考え、有機農業を国の農業システムとして推進しています。

現在のドイツが、世界的に高い水準で有機農業を発展させているのは、国民の食への関心の高さと、国の取り組みが貢献しているのですね。

日本でも有機農業の普及が進められています

日本国内でも有機農業の取り組みが進んでいます。

持続可能な食料システムの取り組みとして、令和3年に農林水産省が「みどりの食料システム戦略」を策定しました。

「みどりの食料システム戦略」における目標の中には、次のようなものがあります。

  • 2040年までに、次世代の有機農業技術を確立する
  • 2050年までに有機農業の取組面積の割合を25%(100万ha)に拡大する 
  • 2050年までに低リスク農薬への転換、総合的な病害虫管理体系の確立・普及を行い、化学農薬の使用量を50%減らす

そして、2010年から2020年までの10年間で、有機農業の耕地面積は次のように広がっています。

  • 有機農業の取組面積:16,700ha→25,200ha(51%増加)
  • 有機JAS取得農地面積:9,400ha→14,100ha(50%増加)

有機農業が日本でも徐々に広がっていることが分かりますね。

これは、生産者による思いの強さもあります。

2021年度に行われた意識・意向調査によると、生産者が有機農業に取り組む理由として「よりよい農産物を提供したい」という意見が約7割を占めていました。

消費者が「いい農産物を食べたい」と思うのと同じように、生産者の方々も「いい農産物を食べてほしい」という思いを持っていることが分かりますね。

らる畑では、有機野菜やオーガニック食品をたくさん取り扱っています。

品物ひとつひとつの中に生産者の思いやストーリーが詰まっていますので、ぜひ手に取ってお楽しみください。

<参考>