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暮らしのこと

韓国の有機農業はどのように発展したのか?学校給食への導入などの事例を含めてご紹介します。

2023/12/19

現在、環境保全型農業や持続可能な農業のロールモデルとして世界で注目の高まる有機農業。

その発展には国を挙げての様々な支援が関係しています。

この記事では、「韓国の有機農業」について調べた内容を記事にしました。

世界各国の有機農業への取り組みを比較することで、オーガニックが少しづつ拡がって来た背景が見えてくるかもしれません。

韓国の有機農業の発展

韓国では環境保全型農業を含めた有機農業の取り組みとして「親環境農業育成法」が定められています。

つまり、韓国で行われている有機農業は「親環境農業」と呼ばれます。

「親環境農業」は、生産量と消費量が近年飛躍的に増加していて、この韓国の有機農業への取り組みと成果は、日本人の農業関係者からも多くの関心を集めています。

もともと、韓国の農業は肥料も農薬も多く使っていて、環境への負担が大きい農業でした。

国民の所得が伸び始めたことで、食品の安全への関心や、韓国政府による推進政策への転換を背景に、1990年代後半から2000年代前半の間に親環境農業が大きく成長したのです。

また、マスメディアによる健康と環境を重視するライフスタイルの発信や、当時の鳥インフルエンザやSARSなどの感染病に対する国民の不安なども、親環境農業に関心が向けられた理由として考えられています。

成長の要因として、環境保全型の農業を進める地域への支払い制度が1999年には導入されていたことが挙げられます。

2001年に認証制度が導入されてから、親環境農業への導入が増え、2012年には、農地全体の 7.3%となる127,124haを記録しています。

しかしその後、認証に関する問題が多発して、管理が強化されたことにより2015年まで減少します。

2018年になると農地全体の4.9%となる 78,544haを記録。農地全体における認証面積の割合は東アジアでもトップクラスにあり、有機農業の普及が進んでいる国のひとつだと考えることができます。

学校給食への取り組み

ソウル市では、2021年からすべての小学校・中学校・高校で「オーガニック無償給食」が全面的に実施されるなど、韓国国内では有機食品の学校給食への導入が進んでいます。

有機食品が学校給食へ取り入れられるようになった背景には、食材の供給が学校と周辺の農家との連携によって行われていたことが考えられています。

農家が地元の小学校に農産物を届ける取り組みは1990年代から始まっていて、2000年代には届けられる農産物に親環境農産物が取り入れられるようになります。

また、市民運動も学校給食の取り組みに影響していたようです。

2003年に当選した当時の大統領が、公約として「学校給食の直営化、国産化、無償化」を掲げていたのですが、当選後しばらく行われなかったことで市民運動が起き、全国各地に広まりました。

その結果、学校給食の直営化や地産化が進み、親環境農産物の導入に至ったという流れがあります。

2016年には、生産された親環境農産物の3〜4割は学校給食に使われました。

また、学校給食に使われる食材の半分以上は親環境農産物が占めたほどであり、韓国での有機農業がとても前進的に学校給食に取り入れられていることが分かります。

韓国の有機認証ラベル「MAFDA」

韓国の有機認証ラベル「MAFDA」

韓国では「親環境農業育成法」に基づいて、有機農産物と有機加工食品に分類されます。

行政機関である農林水産食品部による厳しい審査を通った食品だけが有機食品に認証され、上記のラベルを使用することができます。

韓国政府による有機農業への支援

韓国では、国や地域において有機農業拡大のための支援や活動が積極的に行われています。

認証取得は、直接支払いとセットになっていて、親環境農業に取り組む農家には政府から直接支払いが行われます。

直接支払いの予算は全て国庫から出されていて、栽培方法や作物によって単価が異なります。

また、政府だけでなく地方自治体でも親環境農業への支援政策を打ち出していて、実践する農家への補助事業を自治体で行うようにもなっているようです。

韓国南部の全羅南道という地域では、補助金交付や販売施設の設置、親環境農産物の広報活動などのために予算を確保していて、2004年に1.5%だった親環境農産物の割合を2009年までに30%までに引き上げる結果を出しています。

日本でも有機農業の普及が進められています

日本国内でも有機農業の取り組みが進んでいます。

持続可能な食料システムの取り組みとして、令和3年に農林水産省が「みどりの食料システム戦略」を策定しました。

「みどりの食料システム戦略」における目標の中には、次のようなものがあります。

  • 2040年までに、次世代の有機農業技術を確立する
  • 2050年までに有機農業の取組面積の割合を25%(100万ha)に拡大する 
  • 2050年までに低リスク農薬への転換、総合的な病害虫管理体系の確立・普及を行い、化学農薬の使用量を50%減らす

そして、2010年から2020年までの10年間で、有機農業の耕地面積は次のように広がっています。

  • 有機農業の取組面積:16,700ha→25,200ha(51%増加)
  • 有機JAS取得農地面積:9,400ha→14,100ha(50%増加)

有機農業が日本でも徐々に広がっていることが分かりますね。

これは、生産者による思いの強さもあります。

2021年度に行われた意識・意向調査によると、生産者が有機農業に取り組む理由として「よりよい農産物を提供したい」という意見が約7割を占めていました。

消費者が「いい農産物を食べたい」と思うのと同じように、生産者の方々も「いい農産物を食べてほしい」という思いを持っていることが分かりますね。

らる畑では、有機野菜やオーガニック食品をたくさん取り扱っています。

品物ひとつひとつの中に生産者の思いやストーリーが詰まっていますので、ぜひ手に取ってお楽しみください。

<参考>