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作っている人のこと

岩手県陸前高田の八木澤商店を紹介|津波の被害を乗り越えた努力と奇跡のメーカー

2024/08/22

岩手県陸前高田の八木澤商店を紹介

毎日の食事に欠かせない調味料。

たくさんあるので、何を原料にどんな風に作られているのか、知らないことも多いのではないかと思います。

原料や製法の違いによって、味や価格に大きな影響があり、一般的には安定供給のために大量生産されるものが多く市販されています。

そんな中でも、原料へのこだわりや伝統的で手間のかかる製法を貫くメーカーさんが日本全国、世界各地にいらっしゃいます。

この記事では、らる畑で取り扱っているこだわりのメーカーさんから、「八木澤商店」さんについてご紹介していきたいと思います。

八木澤商店

1807年創業から200年以上続く八木澤商店は、最初は酒造業として出発し、第二次大戦後に味噌と醤油製造を手がけ始めます。岩手県産を中心に、国内産の丸大豆、小麦、米を使用するなど材料にこだわり、添加物を使わず昔ながら続く丁寧な仕込みを大切にしている醸造所です。

豊かな香りと色合い、旨味において評価の高い八木澤商店の製品は、地元の方をはじめ、料理人や料理店など全国にも多くのファンがいます。

深刻な津波被害でも諦めなかった社長の決意

長い歴史を持つ八木澤商店ですが、2011年の東日本大震災で大きな津波の被害に遭い、創業以来最も大きな岐路に立たされました。

八木澤商がある岩手県陸前高田市は、中でも大きな被害を被った場所の一つ。八木澤商店の築200年以上の醸造蔵も店舗も全て津波に流され、味噌や醤油の製造は絶望的な状況だったといいます。

そんな中、震災後すぐに社長に就任した河野社長は「会社も町も復興する」と決意。まずは全ての従業員の雇用を守ることを宣言します。そして、5月には一関に営業事務所を開設し、同業者にレシピを公開して醸造を再開しました。

震災の1年2ヶ月後には製造工場を設立し、その5ヶ月後に本社を陸前高田に戻すなど、驚くほどの速さで八木澤商店は復興に進みました。

そして、2021年には本社の再建、2022年に味噌工場の再建を、陸前高田の地で実現しました。

奇跡的に残っていたもろみから「奇跡の醤(ひしお)」

河野社長の諦めない姿勢と努力だけでなく、奇跡とも言える出来事が八木澤商店の復興を助けました。

津波で全て流されて全滅かと思っていた八木澤商店のもろみ・乳酸菌が、研究用にと東京農大にサンプルが持ち込まれていたことが分かったのです。

その研究所は海の目の前に建っていて、2階まで津波の被害を受けていたのだといいます。しかし、その瓦礫を掻き分けた先に、1つだけ倒れていないロッカーがあり、そのロッカーの上からあの「もろみ」が見つかりました。

まさに「奇跡」と言える出来事で、このもろみから作られた醤油は「奇跡の醤」として現在の八木澤商店の定番製品として販売されています。

また、奇跡の醤だけでなく、八木澤商店の製品は個性的で魅力的なものがたくさんあります。

国産丸大豆醤油「ゆっくりねのんびりと」や、味付けポン酢柚子「君がいないと困る」などの個性の光るユニークなネーミングの商品も。毎日の調理や食事が楽しくなるようなラインナップも八木澤商店の魅力です。

復興後の陸前高田を「発酵のまち」として盛り上げる

八木澤商店は自社の復活だけに留まらず、陸前高田の街全体の復興にも精力的に取り組みました。河野社長の復興への取り組みは、陸前高田のコミュニティーカンパニーとして立ち上げられた『なつかしい未来創造株式会社』にも繋がっています。

『なつかしい未来創造株式会社』若い人たちを中心に誰もが働け、地域資源の特性を生かした産業復興を地域主体で創造していくことなどをコンセプトとした会社で、実際に若い起業家が育ち、そこから40社ほど新しい会社が生まれたのだそうです。

そして、その中のメンバーも関わり、2020年の12月に新しい施設「発酵パーク CAMOCY」がオープンしました。

発酵パーク CAMOCYには、ベーカリー、クラフトビール、チョコレートなど様々な新しいブランドが入っている複合施設です。

八木澤商店も、自社製品と、セレクトした全国・世界の発酵食品を販売する「CAMOCY 発酵MARKET」を出店し、新たな陸前高田の文化の発信地となっています。

らる畑で取り扱っている八木澤商店の商品

らる畑で取り扱っている八木澤商店の4つの調味料をご紹介します。

濃縮だしつゆ 360ml

濃縮だしつゆ 360ml

しょうゆ、砂糖、みりんでつくった「本がえし」に、風味豊かなかつおだしと濃厚でかつ透明感のある羅臼昆布のだしをあわせ、まろやかな味に仕上げました。

麺類、煮物、すき焼きの割り下などにご利用下さい。

濃縮だしつゆ:商品ページ

国産丸大豆しょうゆ ゆっくりねのんびりと 360ml

国産丸大豆しょうゆ ゆっくりねのんびりと 360ml

国産の大豆と小麦を使用し、もろみを2年かけてじっくり熟成させた香り豊かなしょうゆです。

国産丸大豆しょうゆ ゆっくりねのんびりと:商品ページ

奇跡の醤(ひしお) 150g

奇跡の醤(ひしお) 150g

奇跡的に震災前の「もろみ」が見つかり、その「奇跡のもろみ」から搾った八木澤商店の醤油がとうとう完成しました。

震災後、東北の夏を2度経過させ、ゆっくりじっくり熟成させました。味がまろやかでなつかしい香りがします。

かけしょうゆはもちろん、熱を加える料理の隠し味におすすめです。

奇跡の醤(ひしお):商品ページ

味付ぽん酢柚子 君がいないと困る 170g

味付ぽん酢柚子 君がいないと困る 170g

国産ゆず果汁を約30%使用。

加熱をしていないので、ゆず果汁のさわやかな香りが長くお楽しみいただけます。

鍋物、酢の物、サラダにご利用いただけます。

味付ぽん酢柚子 君がいないと困る:商品ページ

2015年3号らる通信より

岩手県陸前高田市気仙沼町で1807年に創業された八木澤商店さん。本醸造の醤油作りにこだわり、材料の自給にも積極的に取り組んで来られた、地域の中心的な存在です。

東日本大震災の津波で、なまこ壁の昔ながらの土蔵も製造設備もすべてが流される壊滅的被害に遭われました。

被書総額は2億円、継続不可能と思われる状況で、9代目の河野通洋さんは従業員全員の雇用継続を宣言。

製造工場の新設、直営店の再開、自社製造の商品の出荷を開始と、この4年で地元と共に再建の歩を着実に進めて来られました。

再建への大きな希望となったのは、震災の2ヶ月前に釜石水産技術センターが研究のために貰い受けていた八木澤商店の「もろみ」の発見でした。多くの機材が流出していた研究所のロッカーから、海水をかぶることなく見つかったのは、まさに奇跡のような出来事でした。このもろみを増やして地元の大豆と小麦、塩で仕込み、二夏じっくり発酵熟成させた醤油「奇跡の醤」が昨年の秋に搾られました。震災後に隣町に再建した新しい工場での最初の仕込み醤油です。

あれから4年の歳月を経て、200年の伝統を受け継ぐ八木澤の蔵付き酵母がプクプクと、八木澤商店の方たちが必死の思いで、育んだ醤油が復活しました。

守り継がなければいけない大切なもの。深い鎮魂の祈りの中で作られた”いのち”ある醤油です。どうぞ、ご賞味下さい。

らる畑では全国各地から厳選した調味料を取り扱っています

今回は、八木澤商店についてご紹介しました。

丁寧に時間を掛けて作られた調味料は、大量生産されたものと比べてお値段は高くなりますが、実は使用量がわずかでも、しっかりと素材の味を引き出すことができます。

オーガニック野菜やサスティナブルな生活に興味が出てきたら、まずは基本調味料を見直してみるのもおススメです。

たくさんの種類の調味料を用意しなくても、シンプルに野菜や素材のおいしさを感じていただけるようにだんだんと舌が慣れてきます。

発酵や醸造、伝統的製法が生み出す本物の調味料のおいしさを知り、ぜひ製造を続けているメーカーさんを応援いただければと思います。

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