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オーガニックのあれこれ

無添加とは?|定義・安全性・取り入れる意味について気になることを調べました。

2023/08/02

無添加とは?|定義・安全性・取り入れる意味について気になることを調べました。

こんにちは!札幌円山のオーガニックショップ「らる畑」のブログを担当しております松原です。

食品のパッケージで目についたり、よく耳にしたりする「無添加」という言葉。簡単に3文字で表していますが、何がどう添加されていないのかを読み解く重要なポイントがあるのです。

今回は「無添加って何だろう?」をテーマに、学んだことを記事にしました。「無添加」という言葉の定義を理解すれば、これからの食べ物の選び方が変わるかもしれません。

無添加の定義は「産地から加工まで食品添加物が使用されていない」こと

「無添加」って何なのでしょう?聞きなれた言葉ですが、私も調べるまで、厳密に理解できていませんでした。「一般社団法人 日本食品添加物協会」の定義をみてみると、無添加とは次のように定義されています。

「無添加」とは、食品添加物が、原材料の産地から最終加工食品完成までの全工程において、一切使用されていないことをいう

『「無添加」、「不使用」表示に対する見解』より(一般社団法人日本食品添加物協会)

添加物の範囲は幅広く、植物・動物の組織や、微生物の代謝産物、鉱物などの天然物を原材料とした天然由来のものと、亜硫酸ナトリウム・カラメル色素・アスパルテームといった化学的合成した人工物とに分けて考えることができます。

実は私、「化学的合成した人工物」だけを指して添加物だと勝手に思っていました。しかしそうではなくて、天然由来のものも含めて添加物なのですね。これは個人的にはちょっとした気づきでした。

添加物を「天然」と「人工」に分けていた時代がありました

よく調べていくと、ひと昔前までは「天然」と「人工」を分けていたこともあったそうです。

1989年、政府は“添加物を天然と人工に分けない”という方針を打ち出しました。逆にいうと、それ以前までは両者を区別して表示するのが普通でした。なぜなら、合成添加物による人体への悪影響が実際にあったからです。

たとえば有名なのが「ズルチン」です。砂糖の約250倍もの甘味を感じるこの物質は、安価な砂糖の代用品として終戦後の日本にも大量に流通しました。しかし経口摂取による死亡事故がたびたび起こったため、政府はズルチンを食品添加物の指定から削除しました。

こうしたこともあって、政府は「天然」と「人工」を区別し、合成添加物の審査を厳しく検査するようになったのです。

しかし1989年からは、「天然」と「人工」の区別をなくして、同列に扱うという方針に切り替わりました。安全性が検証された人工添加物が流通している時代に、「天然」「人工」の言葉のイメージでは誤解を招くから、との判断でした。

2020年からは「天然」と「人工」の文言が削除されることになりました

そして政府は2020年7月に食品表示基準の改正を行い、「天然」と「人工」(または「合成」)の文言自体を削除することになりました。

甘味料現行甘味料、人工甘味料又は合成甘味料
改正案甘味料
着色料現行着色料又は合成着色料
改正案着色料
保存料現行保存料又は合成保存料
改正案保存料
参考:『食品表示基準の一部改正について』(消費者庁食品表示企画課)

2020年からは「天然」と「人工」の文言が削除されることになりました

無添加コスメ(化粧品)について

「無添加」は食品だけでなくコスメ(化粧品)にも使われる言葉です。一般的に、防腐剤、石油系合成界面活性剤、合成香料・着色料、鉱物油といったものを指して添加物と呼ばれることがあります。

実はこれらの成分は、2001年までの時点では、“アレルギーや皮膚障害を起こす可能性が高い成分”として公式に指定されていました。

しかし現在は、当時の指定成分が廃止され、全成分表示制度になりました。そのため現状は、「何をもって無添加とするのか」という定義が厳格ではなくなりました。特定の添加物を使っていないことを明示していれば、無添加と表示することができます(2023年現在)。

無添加コスメ(化粧品)について

参考『食品添加物表示に関する豆知識』(消費者庁)

食品添加物の代表的なものと用途 

甘味料キシリトールアスパルテーム
着色料クチナシ黄色素食用黄色4号
保存料ソルビン酸しらこたん白抽出物
増粘剤安定剤ゲル化剤糊剤ペクチンカルボキシメチルセルロースナトリウム
酸化防止剤エリソルビン酸ナトリウムミックスビタミンE
発色剤亜硝酸ナトリウム硝酸ナトリウム
漂白剤亜硫酸ナトリウム次亜硫酸ナトリウム
防かび剤(防ばい剤)オルトフェニルフェノールジフェニル
イーストフードリン酸三カルシウム炭酸アンモニウム
ガムベースエステルガムチクル
かんすい炭酸ナトリウムポリリン酸ナトリウム
苦味料カフェイン(抽出物)ナリンジン
酵素β‐アミラーゼプロテアーゼ
光沢剤シェラックミツロウ
香料オレンジ香料バニリン
酸味料クエン酸乳酸
チューインガム軟化剤グリセリンD‐ソルビトール
調味料L-グルタミン酸ナトリウム5’一イノシン酸ニナトリウム
豆腐用凝固剤塩化マグネシウムグルコノデルタラクトン
乳化剤グリセリン脂肪酸エステル植物レシチン
水素イオン濃度調整剤(pH調整剤)DL-リンゴ酸乳酸ナトリウム
膨張剤炭酸水素ナトリウム焼ミョウバン
栄養強化剤ビタミンC乳酸カルシウム
その他の食品添加物水酸化ナトリウム活性炭、プロテアーゼ
参考『よくわかる食品添加物』(一般社団法人 日本食品添加物協会)

「アスパルテーム」の発がん性がWHOに認められました。この添加物は、1980年代以降、“カロリーオフ”と謳うダイエット飲料をはじめ、チューインガム、アイスクリーム、シリアル、ヨーグルト、歯磨き粉など、さまざまな食品 ・ 飲料製品に使われるようになりました。

2023年7月、国際がん研究機関 (IARC) 、WHOおよび国連食糧農業機関 (FAO) の食品添加物合同専門家委員会 (JECFA) が、アスパルテームの発がん性に対して言及。IARCは、ヒトに対して発がん性のある可能性「IARCグループ2B」に分類しました。一般的な使用量では、ただちに安全性を脅かすものではないとされていますが、潜在的なリスクはなおも指摘があるようです。

こうして見ていくと昔は採用されていた「人工」や「指定表示成分」がなくなったこと、食品添加物の種類が多いので、かえって判断が難しくなったような印象を受けます。

参考『無添加食品には表示ルールがある?気になる選び方も徹底解説!

無添加とオーガニックの違い

オーガニック」も聞きなれた言葉ですが、日本国内では定義がかなり厳格で、「有機栽培で生産された農産物や農産加工品」を指すものが、「オーガニック」と名乗ることができます。「無添加」とは生産物に対する言葉で、「オーガニック」は生産プロセスに言及した言葉、と整理するとわかりやすいかもしれません。

参考『体に良さそう?「無添加」「オーガニック」の違いとは?

無添加の食品は身体にいいの?

「身体にいい」という表現は誤解を招きやすいかもしれません。ただ自然の食べ物にはないものを付け加えているため、それが余計に感じる方や、自然本来の味を楽しみたい方には、大切な選択肢の一つになるかもしれません。

ちなみに、こうしてらる畑で記事を書いている私が、はじめてお客さんとしてらる畑でお買い物をしたのは、しそ漬けの梅干しでした。人工の添加物を一切使わず、オーガニックで作った梅としそ、そして蒙古の塩のみで出来た梅干しです。

一粒食べたときの衝撃は、いまでも忘れられません!「これが本来の梅干しなんだ」と感動したものです。逆にいえば、これまで食べていた梅干しの味が、いろんな添加物によってミックスされたものなのだなあとショックを受けました。

あらためて、無添加を選ぶ意味って何だろう?という根っこの部分について、らる畑の代表に聞いてみたいと思います。

らる畑ではなぜ無添加にこだわるの?

食品添加物の役割には賞味期限を長くしたり、見た目をキレイにみせたり、原材料の原価を下げたり、製造を安定させたりなど様々な要素があります。

利便性もあり市場流通には欠かせなくなっている部分もありますが、まだまだ合成添加物を使わない食品製造を続けているメーカーさんもあるので応援したいと思っています。

※らる畑では化学合成添加物無添加という言葉を使っています※

無添加を選ぶ意味

  • 素材そのものの味がわかるようになる
  • 醸造発酵などの時間が生み出す旨みや成分が失われない

添加物の食べ物ばかり食べていると……

  • 化学合成添加物は摂取しすぎると分解する身体に負担がかかる
  • 化学合成添加物の味に慣れ過ぎて薄味だと物足りなくなってしまう

食品添加物を見分けるには?

商品を購入する時にできるだけ食品表示に目を通してみてください。

原料は重量順に書かれていて、スラッシュ(/)やスペース以下の部分が食品添加物になります。

細かい字でいっぱい書かれていると気が滅入るかもしれませんが、見ているうちに癖になってくるので、添加物の名前を覚えたり、身近な存在になってくると思います。

日々何を身体に取り入れているかに意識を向けることで、食べ方や選び方がだんだんと変わってきます。

さいごに:シンプルに生活する快適さ

食べものは生き物ですから時間や環境で当然変化したり腐敗したりしていきます。

食品添加物はそこに利便性という恩恵を与えてくれるわけですが、あまりにも手を加えすぎると生き物のいのちを頂いているという感覚から遠ざかってしまうように思います。

例えば納豆や味噌などの発酵食品は、賞味期限が付いていても熟成がすすめば美味しくなる場合もありますし、塩だけで漬けた梅干しは驚くほど日持ちがします。

見て、匂いをかいで、味わって。人にそなわった素晴らしい五感を使って自身で判断することもおススメです。賞味期限に縛られた食品廃棄も減るかもしれません。

五感センサーが働いてくると、必要なものと必要ではないものの選択が容易になり、身の回りがシンプルに、快適さも増してきます。

食品添加物は多用されることで分解する身体の負担も大きく、複合的・長期的に摂取した場合のリスクについて安全性が保障されているものではありません。

消費者が食品添加物について知識を深めれば、無添加の食品を作るメーカーも増えてくるのではないでしょうか。

自分や身の回りの人が何を食べているかに目を向けることは「食べもののいのちを見失わない食べ方」に通じるオーガニックの本質なのではないかと思っています。

今回の記事の参考