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オーガニックのあれこれ

有機農業が日本に普及しない理由とは?世界と比較した現状も交え紹介します

2024/04/10

有機農業が日本に普及しない理由とは?世界と比較した現状も交え紹介します

こんにちは!オーガニック・自然食品のお店「らる畑」のブログ担当、松原です。

「持続可能な発展」に対する関心が国際的に高まってる中で、環境への負担軽減が期待される有機農業の普及・拡大は各国で進められています。

しかし、私たちが住んでいる日本では、欧州などの各国と比較すると、なかなかうまく普及していない現状のようです。なぜ日本では有機農業が普及しにくいのでしょうか?

今回は、世界と比較した日本の有機農業の現状や、日本で有機農業が普及しない背景について調べた内容を記事にしました。

世界からみた日本の有機農業の現状

有機農業を促進する世界各国の現状と比較した場合の、日本の有機農業の現状についてご紹介します。

日本では、他の先進国と比べると全体の耕地面積に占める有機農業の割合は低い状態です。

2020年の国際統計では、日本の有機農業の面積割合は0.3%となっています。それに対してヨーロッパでは10%を超える国も多くあります。

近隣の気候が似ているアジア諸国の面積割合と比べてみても、韓国は2.3%となっていて、日本と比較すると有機農業が発展していることが分かります。

世界からみた日本の有機農業の現状
引用:有機農業をめぐる事情(農林水産省)

そして、日本は有機農業の成長の伸びもあまり良くはありません。

農林水産省が掲げる「みどりの食料システム戦略」では、2050年までに有機農地の面積割合を25%までに伸ばすという目標が掲げられています。

しかし、現状を見てみると、有機JAS認証を取得していない耕地を含めても全体の約0.6%(25.2千ha)に留まっていて、今の伸び率のまま増加すると考えると、2050年の時点で4%までにしか成長していないのです。

世界からみた日本の有機農業の現状
引用:有機農業をめぐる事情(農林水産省)

有機農業が日本で普及されない4つの理由

有機農業が日本国内でなかなか普及しない背景には、あらゆる要素が考えられます。

ここでは、主に考えられる4つの理由についてご紹介します。

1.有機JAS認証取得の困難さ

日本で有機農業が普及しない理由の一つに、有機認証制度の複雑さや厳格さが挙げられます。

日本の有機認証である有機JAS規格で認証を得るには、厳しい基準を満たす必要があり、それだけでなく申請から認定までの手続きが複雑だったり、多くの費用が必要になるなど、認証取得をためらってしまう要素が多くあるのです。

例として、圃場(ほじょう)に関する基準では、周辺から使用が禁止されている化学肥料や農薬などの資材が飛来・流入しないように必要な措置を講じることが求められます。

2.就農して継続するための情報・技術の不足

農業者の方々にとって、慣行農業と比べると有機農業は専門的な技術や経験が求められる農法です。しかし、新たに有機農業へ就農しようとした場合に必要な情報や技術が不足しているという現状もあります。

研修先の整備や相談窓口と有機農業指導員との連携や、行政による空き地情報の集約、販路の開拓など、公的な支援の充実がより求められると考えられます。

3.農家の小規模経営・人手の不足

日本の農家の多くは、小規模経営が特徴にあり、家族経営や個人経営が主流となっています。

このような小規模経営の農家全般的に作業・管理を行うための人手が不足している場合があります。特に有機農業では化学肥料や農薬に代わって、手作業や自然の循環に寄り添った栽培の方法が求められるため、小規模経営の農家では人手不足が問題になっているのだと考えられます。

さらに、日本の農業人口の高齢化や若者の農業離れもこの問題を悪化させています。若者や労働力の供給源が限られているため、農業に必要な労働力を確保することが難しい状況にあります。特に、都市部や地方の担い手が減少している地域では、農業の労働力不足が深刻化しています。

4.有機農業に対する消費者の意識

一方、日本国内では有機農業・有機農産物に対する消費者の関心があまり広がっていません。

従来の生産性・効率性を追求した農業では水質汚染や土壌の劣化、生物多様性の損失など、環境に悪い影響を与える側面があります。環境問題への意識の高いヨーロッパの国の人々は、環境への配慮が有機農作物を購入する理由になっていることが多くありますが、日本ではまだこの意識が高くないことが考えられます。

また、現状において、有機農産物は化学肥料や農薬を使用せずに生産するため手間がかかり、土地生産性も低いことでどうしても価格が高くなってしまいます。この価格が高いという点も、需要が高まらない一つの要因として考えられるでしょう。

まとめ〜日本の有機農業普及のために私たち消費者がきること〜

今回は、世界と比べた日本の有機農業の現状や、日本で有機農業が普及しない背景についてご紹介しました。

1989年に店舗を構えたころは、高度成長期の影響による公害や環境汚染などが明るみになり、有機農業への関心が高まっている時代でした。

30年以上が経過しても、国内で有機農業が占める面積はあまり広がっていません。

消費側の需要の高まりが、これからの有機農業の普及に大きく影響します。

ぜひ応援する視点で「有機農産物」またはそれに準ずる野菜を買い支えていただければと思います。

らる畑では全国から届く四季折々の旬の有機野菜をご紹介しています。

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