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全国の中でも有機農業が盛んな地域について紹介

2024/04/17

全国の中でも有機農業が盛んな地域について紹介

こんにちは!オーガニック・自然食品のお店「らる畑」のブログ担当、松原です。

食や環境への関心の高まりによって世界的に注目が集まっている有機農業。

世界と比べるとまだ面積割合や認知度は低いかもしれませんが、日本でも徐々に有機農業が広まりつつあります。

日本の有機農業について調べてみると、いくつかの地域では有機農業が盛んに行われていることが分かりました。

今回の記事では、耕地面積に占める有機農業の割合が日本トップの高知県馬路村や、有機農業の取組面積1位〜3位の北海道・鹿児島県・熊本県で行われている有機農業の特色や取組事例について調べた内容を記事にしました。

全国の有機農業が盛んな地域

市町村単位で見ると、全国津々浦々の様々な地域が本格的に有機農業へ取り組んでいることが分かります。

農林水産省が発表した2021年度における耕地面積に占める有機農業の割合のランキングを参照すると、最も割合が高いのが高知県馬路村で81%(52ha)、続いて山形県西川町で15%

(75ha)、宮城県柴田町が13%(123ha)という統計があります。

圧倒的な数字を記録した高知県馬路村は、ゆずの生産が有名な地域です。人口が1000人にも満たない小さな村ですが「化学系肥料ではいつまでも畑に地力がつかない」と感じていた当時の発起人の方が村のゆず部総会に提案し、村全体で支え合いながら取り組んでいったのだそうです。

絞り終わったゆずは堆肥として活用するなど、自然の循環の中で有機栽培を行う有機循環農法を15年以上継続し、今では全国的にも評価の高いゆずの生産地となっています。

参考:
有機農業初のランキング 面積割合1位は馬路村(高知) 農水省
馬路村農業公式サイト

また、全国の有機農業の耕地面積の広さで見ると、北海道、鹿児島県、熊本県の順で有機農業に取り組んでいる農地の大きさを持っています。

以下では、北海道、鹿児島県、熊本県の3地域について、それぞれの有機農業への取組の現状や特徴についてご紹介します。

北海道の有機農業

北海道で行われている有機農業について、耕作面積や有機農業組合、普及のための自治体の取り組みについてご紹介します。

北海道の有機農業の耕作面積

2021年度時点で、全国にある有機JASの圃場の41%が北海道に存在しています。

2022年の統計では、北海道の有機JASの圃場の面積は以下のようになっています。

耕作地の種類面積
合計6225.62ha
140.1ha
普通畑2105.44ha
樹園地49.87ha
牧草地3926.2ha
その他4haha
参考:国内における有機JASほ場の面積(令和4年4月1日現在)|農林水産省

北海道有機農業協同組合

北海道には、有機農家さんたちの協同組合である「北海道有機農業協同組合」があります。2001年に設立された全国初の有機専門農協です。有機認定農家が正組合員、有機農業を応援する消費者や団体が准組合員となって、力を合わせる形で運営されています。

子どもたちの給食の食材に有機野菜を提供して行う食育活動や、マルシェやセミナー、農業体験を通じて生産者と消費者が交流できる場所づくりを行うなど、精力的に活動しています。

北海道有機農業協同組合の公式サイトでは、北海道にどんな有機農家さんがいらっしゃるのか、一覧で見ることができ、北海道の各地域でいろんな生産者さんたちが有機農業に取り組んでいることが分かります。

例えば、岩見沢の栗沢あおぞら農園さん。

会社勤めのあと、41歳で就農した林さんも今では多品目に挑戦するベテラン農家です。

当初から「柔らかく新鮮な葉物野菜を都市に提供できる農家になりたかった」というように9棟のハウスを駆使して2~3毛作に精力的に取り組んでいます。

小松菜、ほうれん草、春菊、玉レタスの他に春の菜花やみずみずしい白かぶが人気です。

参考書籍:私たちはなぜ有機農業を選ぶのか。|北海道有機農業協同組合

参考:北海道有機農業協同組合

北海道の有機農業促進への取組

北海道では、生産者組合だけでなく自治体による有機農業への取り組みも行われています。

当別町では、有機農業への就農支援やオーガニック給食の提供を目的に、町内の有機農家さんによって構成される当別町クリーン農業協議会を設立し、普及のための活動を行っています。

音更町や芽室町などの自治体では、環境保全型農業直接支援対策として、有機JAS規格水準で農業を行う農業者に対して単位面積あたりの金銭的な支援も行っています。既存の有機農業者は、新規有機農業就農者に対する指導や相談を行うことで、同じように支援を受けることができる仕組みがあります。

参考:当別町での有機農業の取り組み

鹿児島県の有機農業

鹿児島県で行われている有機農業について、耕作面積や有機農業組合、普及のための自治体の取り組みについてご紹介します。

鹿児島県の有機農業の耕作面積

2021年度時点で、全国にある有機JASの圃場の7%が鹿児島県に存在しています。

また、2022年の統計では、鹿児島県の有機JASの圃場の面積は以下のようになっています。

耕作地の種類面積
合計1095ha
35.35ha
普通畑267.49ha
樹園地42.31ha
茶畑691.20ha
その他58.67ha
参考:国内における有機JASほ場の面積(令和4年4月1日現在)|農林水産省

鹿児島県は茶の生産で有名な土地であり、県内の有機JAS圃場免責のうち6割以上を茶畑が占めていることが分かります。

有機茶の栽培が活発

いまご紹介したように、鹿児島県では特にお茶の栽培が活発です。

かごしま茶の生産では、クリーンなかごしま茶づくり推進本部を中心に、お茶の生産履歴を明らかにして消費者に情報を開示するシステムを導入しています。

また、品質向上等に関する茶生産工程の管理基準「かごしま茶基礎GAP」を制定し、生産者さんが農産物の安全性の確保、環境の保全、品質の向上、労働安全の確保等を達成しやすい仕組み作りなども行っています。

鹿児島県の有機農業促進への取組

鹿児島県南西部にある南さつま市は、かぼちゃ、きんかん、コシヒカリ、らっきょうなどの農産物で高い品質が評価されているまちです。この市では、有機農業をはじめとした自然循環型農業の促進を積極的に進めています。

具体的には、自然農法体験学校「ありのまま分校」の開催や、学校給食センターと連携した食育授業の実施などを行っています。また、今後は高校生の就農インターンシップ受け入れや有機農業研修のための圃場の設置などに取り組んでいく方針があるなど、学校教育と強く連携して発展させていることが分かります。

参考:南さつま市有機農業実施計画

かごしま有機生産組合

1984年に結成されたかごしま有機生産組合は、日本の有機組合の中でも有数に古い歴史を持ち、「農薬や化学肥料を一切使わない栽培」と共通の約束として、有機JAS認証を受けた数多くの有機農産物を全国に出荷しています。

規模の大きさを生かして、加工事業やEC販売なども行い、海外にも事業を展開するなど、未来を見据えた活動を行っています。

参考:かごしま有機生産組合

熊本県の有機農業

熊本県で行われている有機農業について、耕作面積や有機農業組合、普及のための自治体の取り組みについてご紹介します。

熊本県の有機農業の耕作面積

令和3年度時点で、全国にある有機JASの圃場の5%が熊本県に存在しています。

2022年の統計では、熊本県の有機JASの圃場の面積は以下のようになっています。

耕作地の種類面積
合計698.82ha
195.08ha
普通畑405.58ha
樹園地49.62ha
茶畑27.15ha
その他21.38ha
参考:国内における有機JASほ場の面積(令和4年4月1日現在)|農林水産省

有機農業全国No.1のまち 熊本県山都市

熊本県の中でも古くから有機農業に取り組んでいる地域として山都(やまと)市が有名です。有機JAS認証事業者数は全国で最も多く、季節を問わず年間を通して多くの種類の野菜やお米を栽培しています。

山都市では、有機農業で栽培した有機米が小中学校の学校給食に提供される取り組みが難なく普通に行われているほど有機農業が充実していて、全国から有機農業への就農希望者が毎年たくさん移住してくるほどなのだそうです。

世代から世代へ町の土壌を守っていく姿勢が受け継がれている、魅力ある有機の町ですね。

参考:山都町有機農業協議会

熊本県の有機農業促進への取組

いまご紹介した山都市が代表的な例ですが、熊本県は90年代初頭から減農薬による土壌の保全に積極的に取り組んでいた県です。

熊本県は、1990年度に「熊本県土づくり・減農薬運動推進本部」を設置し、全国に先駆けて土づくりを基本とした、化学肥料や農薬の使用をできるだけ減らす環境に優しい農業の取り組みを開始しました。

2005年度にはこの取り組みを「くまもとグリーン農業」と改称し、地下水や土壌を育むための条例も施行しています。

このようにして熊本県は、数十年前から有機農業促進への取組を行っていて、現在では有機農業に取り組みやすい環境づくり、有機農業者に対する技術的な支援、消費者の理解促進を精力的に行っています。

参考:熊本県有機農業推進計画

まとめ

今回は、有機農業が盛んな日本の地域についてご紹介しました。市区町村単位で見ていくと、他にもたくさんの村や町が有機農業に取り組んでいます。それぞれの生産者さんたちの農産物にはどれも個性があり、そうした野菜や果物ごとの個性を楽しんでいただけるのも有機のいいところだと言えるでしょう。

北海道では長い冬があり、全国各地の旬の有機野菜のリレーなくしては流通がなりたちません。

日本の地域それぞれで有機農業への取組みが増えていくことで、環境問題のみならず地域コミュニティの活性化や子どもたちの学びにつながっていく可能性もあります。

ぜひ応援する視点で「有機農産物」またはそれに準ずる野菜を買い支えていただければと思います。

また、らる畑の通販サイトでは取り扱い商品の一部を販売しています。どんな生産者さんや食品メーカーさんの食材・食品を販売しているのか知りたい方は、こちらもぜひご覧になってください。