毎日の食事に欠かせない調味料。
たくさんあるので、何を原料にどんな風に作られているのか、知らないことも多いのではないかと思います。
原料や製法の違いによって、味や価格に大きな影響があり、一般的には安定供給のために大量生産されるものが多く市販されています。
そんな中でも、原料へのこだわりや伝統的で手間のかかる製法を貫くメーカーさんが日本全国、世界各地にいらっしゃいます。
この記事では、らる畑で取り扱っているこだわりのメーカーさんから、2017年に訪問した「三河みりん」さんについてご紹介していきたいと思います。
三河みりん|100年以上続く醸造所のこだわり
三河みりんを生産する「角谷文治郎商店」さんは、明治43年の創業から100年以上みりん造りを行っている、長い歴史を持つ醸造所です。
そんな三河みりんは、「伝統的製法」「原材料の米」にこだわって造られている特長があります。
明治時代から続く伝統的製法「米一升・みりん一升」
明治43年の創業以来、角谷文治郎商店さんは「お米のおいしさを最大限に引き出す伝統的な醸造方法」を守り続けています。
加熱などの処理は行わずにじっくりと時間をかけて造られる三河みりんは、醸造に約3ヶ月、さらに熟成に約2年の歳月を要します。
これほどまでに時間をかけて作ることで、三河地方の気候風土の中で生きる微生物がよく働き、お米の持つおいしさを最大限に引き出してくれるのだといいます。
原材料「米」へのこだわり
そんな伝統的な製法で造られる三河みりんは、原材料である「米」もこだわって厳選されているのも注目したい特色です。
三河みりんの原材料は「もち米」「米麹」「米焼酎」の3つのみですが、これら全てにこだわることで最上の「もろみ」が仕込まれます。
使用されるお米は全て国産。角谷文治郎商店と付き合いの長い生産者の方が丁寧に育てたもち米を仕入れて、全て独自に精米をしています。
そして使用される米麹と米焼酎は、みりんを仕込む際にベストな状態を保つため、全て角谷文治郎商店が独自に製造したもの。
このように厳選されたもち米・米麹・米焼酎を醸造し、長期間の熟成を経ることで三河みりんは完成します。
三河みりんの味わいと料理に取り入れる効果
時間をかけて素材の持ち味を活かすことで生まれる、まろやかで味わい深い甘みが特徴です。しっかりとした甘さを持ちながらも、舌にベタつくような後味はありません。
そのまま飲んでも十分においしさを感じられるからこそ、料理をもっとおいしくする効果があるのです。
みりんに含まれるアルコール分は食材の組織に浸透しやすく、味がよく染み込んで旨味を閉じ込める効果があります。コクの深い三河みりんを使えば、食材の食感や味わいがより品の良いものになるでしょう。
三河みりんを料理に取り入れることで、次のような効果に期待できます。
三河みりんを料理に取り入れるメリット
- 料理に照り・ツヤが出る
- コク・旨味を引き出す
- 臭みを消す
- 煮崩れを防ぐ
- 上品でまろやかな甘みが出る
特に三河みりんには、お米のおいしさを最大限に引き出すことで品の良い甘みを持っているという魅力があります。
砂糖が持つ甘み成分はショ糖の1種類だけですが、三河みりんにはブドウ糖やオリゴ糖などの様々な成分が含まれていて、奥行きのある甘さを料理にもたらしてくれるのです。適量の三河みりんを使うだけで、砂糖を使わないお料理が楽しめます。
らる畑で取り扱っている三河みりんの商品
らる畑では、三河みりんが製造する以下の商品を取り扱っております。
三州三河みりん
三河みりんの看板商品。200年以上続く三河地方の伝統的な醸造方法によって、もち米の持つおいしさを最大限に引き出したみりんです。
料理に使ったときの、上品でキレの良い甘さと照り・ツヤの良さが特長。食材の良さを引き立てる旨み・コクの豊かさが特長。
有機三州味醂
有機三州味醂は、自然そのままの環境の中で栽培された国内産の有機米が原料。
よりお米の自然な甘さ・旨み・香りを豊かに味わうことができる、三河みりんの中でも特別なみりんです。
三州梅酒
三河みりんに青梅を漬け込んだ、三河みりんブランドしか作れない特別な梅酒です。
みりんと同じように長い期間熟成することで爽やかな梅の風味とみりんの自然な甘さが調和して、芳醇でまろやかな味わいに仕上がっている和のリキュールです。
※らる畑では季節限定の取り扱いとなっております。
2017年7号らる通信より
5月下旬に、ようやく憧れの角谷文治郎商店さんを見学に訪れることができました。らる畑で酒販免許を取得したのは、角谷さんの三河本みりんを扱いたかったからなのです!
角谷さんのすごいところは、使用するもち米は国産の有機もしくは減農薬米を自社精米し、麹と焼酎も自社製造。1升瓶分のみりんを作るために使われる原料は1升瓶に対してもち米9割と米麹が1割。これに仕込み用の自社製焼酎が5割加わります。
市販のみりんのほとんどが海外産原料、醸造アルコールで増量しているのに対して、国産米をふんだんに使って1年以上熟成させた糖化醗酵の本みりんは、色も味もまったくの別物です。
お話を聞くと本みりんは、戦中は贅沢品として製造が禁止、戦後も高い酒税が課せられたため1本1000円の内762円が酒税という時代もあったそうです。今でも台風の被害による凶作、価格の暴騰など様々な困難がある中、角谷さんでは日本農業を支える覚悟を持って国産米の確保に尽力されています。
お米の良いところをギュッと詰め込んだ「三州三河みりん」。
守り繋いでいきたい、美味しくて大切な伝統調味料です。
キレのある甘みと濃厚なコクがあるので、使用量はわずかで、砂糖の使用も控えることができます。お料理の味もグッとアップ!
使って頂ければその違いがわかりますのでぜひ、お試し下さい!
らる畑では全国各地から厳選した調味料を取り扱っています
今回は、三河みりんについてご紹介しました。
丁寧に時間を掛けて作られた調味料は、大量生産されたものと比べてお値段は高くなりますが、実は使用量がわずかでも、しっかりと素材の味を引き出すことができます。
オーガニック野菜やサスティナブルな生活に興味が出てきたら、まずは基本調味料を見直してみるのもおススメです。
たくさんの種類の調味料を用意しなくても、シンプルに野菜や素材のおいしさを感じていただけるようにだんだんと舌が慣れてきます。
発酵や醸造、伝統的製法が生み出す本物の調味料のおいしさを知り、ぜひ製造を続けているメーカーさんを応援いただければと思います。
インスタでも最新情報をお伝えしています。ぜひご覧ください。